ナットとの隙間をなくす動作を行う。コアバック開始タイミングに到達すると、素早く型締圧抜を行いコアバック型開工程に移行する。固定盤・可動盤の四隅にある4軸タイバー位置を独立して制御することにより型開量を制御することを可能とした。所定の位置まで型開した後は4軸のタイバーで可動盤の位置を保持制御することで精度良く停止位置の維持が可能である。コアバック工程は、多段で設定可能としている。各段の型開量はタイバー位置によりコアバック作動を行うことから、4軸個別の型開位置設定を設けている。通常は同じ型開位置を設定することにより4軸で均等に型開量を制御する。しかし金型の状態や経年変化などにより成形品の厚みに偏りが生じて微調整を行いたい場合は、各タイバーの型開位置設定をそれぞれ変更することで該当するタイバーつまり可動盤位置の開き量を変えて制御が行える。そのため、金型や機械の公差の許す範囲で成形品の厚みの偏りを調整することが可能となる。 3. 成形事例成形事例として自動車用エンジン関連部品 1個取りでのコアバック発泡成形を紹介する。図3にコアバック成形した製品の発泡状態を確認した結果を示す。本成形では、所定の基準範囲内に収まる成形品とすることが確認できた。さらに、発泡方法や発泡剤により度合いは異なるものの、コアバック条件を変えることでスキン層の厚みや気泡の大きさ、密度を調整できることも確認できた。一例として、図4に30ショットの連続成形を実施し、製品肉厚と製品重量を測定した結果を示す。ばらつき度合いの指標として標準偏差を求めた。製品中央部の肉厚図3 製品断面の標準偏差は0.022 mm、重量の標準偏差は1.57gであった。また、コアバック機構の特長を生かした機能としてコアバックの型開量を軸ごとに変更した場合の肉厚の変化を確認した。条件として上側タイバー2カ所と下側タイバー2カ所とで0.5 mmの差を設けて成形を行った。型開量設定に応じてタイバー位置を制御することにより可動盤の型開量を制御し、製品中央部を中心として変位させた側の肉厚を任意に調整できることを確認した(図5)。 4. おわりに今後も更なる精度アップを図るよう改良改善に努め、より満足のいただける製品を提供できるよう邁進する所存である。図4 製品肉厚と製品重量図5 型開量制御の効果(97)
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