3.1 データベース駆動型制御データベース駆動型制御を用いた巻取機におけるフィルムの張力制御コントローラ開発3.2 オフライン学習【STEP1.初期データベースの作成】のトルクもしくは速度を制御することで各駆動ロール間のウェブの張力制御を行っている。具体的には、①巻出軸 – フィードロール1間、②フィードロール1 – フィードロール2間、③フィードロール2 – 巻取軸間でそれぞれ張力制御を行っており、①と③は巻出軸や巻取軸の巻径を利用したトルク制御、②はフィードロール1とフィードロール2の速度差を利用した速度制御による張力制御を行っている。本開発では、③フィードロール2 – 巻取軸間におけるトルク制御による張力制御に着目する。ここで、トルク制御による張力制御は、ウェブの張力をフィードバックする張力フィードバック制御とウェブの張力をフィードバックしないオープンループ制御がある。張力フィードバック制御を用いる場合、オープンループ制御よりも高い制御性能を得られるが、一方で張力検出器が不可欠であり、オープンループ制御よりもコストが高くなるため、制御性能とコストはトレードオフの関係となっている。そのため、制御方式の特徴と巻取対象となるウェブの特性を考慮して制御方式を決定する必要がある。本稿では、張力フィードバック制御の制御性能向上を目的としてデータベース駆動型PID制御を適用した取り組みについて述べる。データベース駆動型制御とは、制御対象が非線形性を有する場合でも、データベースに格納されたデータセットに基づいて適応的に制御パラメータを調整する手法で図4 巻取試験機図5 巻取試験機の構成概要図ある(図6)。制御パラメータの修正(学習)を行う手法については、操業中に学習を行うオンライン学習と事前に学習を行うオフライン学習がある。ここでは、事前に取得した操業データを用いて、操業前にデータベース内の学習(オフライン学習)を行う手法による、データベース駆動型制御の詳細なアルゴリズムを示す(図7)。データベース駆動型制御では、原理上データベース内にデータセットが存在しない場合、パラメータ調整を行うことができない。そのため、固定のPID制御器などを用いて以下の操業データ ここで、図6 データベース駆動型制御系概要図図7 データベース駆動型制御フローチャートは目標値、とPIDゲインを取得する。はシステム出力、 は制御入力、は時間、はデータベースの番目のデータセットであることを示している。そして得らから各時刻にれた操業データ(9)3. データベース駆動型PID制御
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