3.2 制御モデルについてマグネシウム合金射出成形機を対象とした連成解析技術の構築3.3 機構モデルと構造モデルについて(18)の2つで作成して、変位と荷重を共有する構成とした。次に、射出シリンダ内の作動油が入る領域を流体モデルで作成した。また、1Dモデルで作成した油圧回路を制御モデルとして組み込んだ。ここで、1Dモデルで扱う作動油の流量と圧力は三次元の分布を持たない値であるため、三次元形状を考慮した流体モデルと直接共有することが難しい。そこで、機構・構造モデル上で流入・流出ポートにダミーパートを作成して、作動油の流量をダミーパートの速度、作動油の圧力をダミーパートに作用する荷重に換算して機構・構造モデルに共有した。併せて、ダミーパートと作動油の境界を受圧面と定義して、ダミーパート受圧面上の要素の変位を流体モデルの壁面の変位、ダミーパート受圧面に作用する圧力を流体モデルの壁面に作用する圧力として共有した。これにより、制御モデルで扱う作動油の流量と圧力を機構・構造モデルを介して流体モデルと共有して解析を行う。制御モデルでは、アキュムレータから射出シリンダに流入するまでの油圧回路(流入ポート側油圧回路)と射出シリンダから流出してアキュムレータとタンクに至る油圧回路(流出ポート側油圧回路)をモデリングした。制御モデルを図7に示す。流入ポート側油圧回路と流出ポート側油圧回路は互いに独立して機構モデルと情報をやり取りする構成とした。制御モデルの特徴として、実機バルブの流量特性を表現した数式モデルを備えていることが挙げられる。これにより、操作量であるバルブの開度に対する作動油の流量と圧力を算出して、射出シリンダ内の挙動の予測に用いることを可能とする。図7 制御モデルまた、流量と圧力を機構・構造モデル上のダミーパートを介して流体モデルと共有するために、仮想的なピストン-シリンダ部品を設けた。これにより、バルブを通過した作動油の圧力を仮想的なピストン断面に作用する荷重に換算して機構モデルと共有する。同様に、機構モデルで算出したダミーパートの速度を体積流量に換算して制御モデルに取り込む。機構モデルと構造モデルでは、射出ピストンとダミーパートについて、三次元空間上で重複するようにモデリングした。これらを図8と図9に示す。まず、機構モデルの各部品は変形を考慮しない剛体要素で表現しており、構造モデルと変位・荷重を共有する節点(接続点)に作用する荷重を外力とする運動方程式を解くことで変位および速度を算出する。制御モデルで算出した作動油の圧力を換算した荷重もダミーパートの接続点に作用させた。次に、構造モデルの各部品は変形を考慮できる弾性体要素で表現しており、受圧面に流体モデルで算出した圧力を作用させることで、部品の変形と応力状態を算出する。図8 機構モデル図9 構造モデル日本製鋼所技報No.74(2023.11)技術論文
元のページ ../index.html#22