日本製鋼所「技報74号」
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マグネシウム合金射出成形機を対象とした連成解析技術の構築(20)図11 連成解析と実機の比較図12 隙間からの漏れを表現するモデリング本開発では、MG成形機を対象として制御-機構-構造-流体の四要素を連成させた解析技術を構築することで、射出ユニットの動的挙動を表現することを目指した。解析結果と実測を比較して連成解析の妥当性を検証したところ、実機射出ピストンの速度を良好に表現できることを確認した。ただし、射出ピストンの挙動を決める要因となる流入・流出ポートの圧力については、特にブレーキ機構が作動している際の挙動が振動的となり、実測と乖離が見られた、この原因として、ブレーキ機構である流出ポート流路断面積の時間変化の表現に課題があったことが考えられる。また、射出ピストンと射出シリンダの隙間からの漏れを考慮していなかったことも原因に挙げられる。今後、流入・流出ポートの時間的な圧力挙動を高精度に表現できるよう解析手法の検討と実機検証を進める。さらに、連成解析で表現した油圧機構の挙動を1Dモデルに落とし込むことで、開発初期段階での数値解析を用いた検討を可能とする。これにより、製品開発の手戻りを防ぎ、開発速度の向上と試作コストの低減を実現したMBD手法による製品開発プロセスの確立を目指す所存である。(1)経済産業省:“「革新的新構造材料等技術開発」の概要”, https://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/hyouka/haihu108/siryo2-2. pdf (2014), p. 4(2)山本 透(編著), 脇谷 伸, 原田 靖裕, 香川 直己, 足立 智彦, 沖 俊任, 原田 真悟: 実習で学ぶモデルベース開発-『モデル』を共通言語とするV字開発プロセス-, “モデルベース開発(MBD)”, pp. 1-14, (株)コロナ社(2018)(3)菅原 貴弘, 平川 友大, 落岩 崇, 富山 秀樹, 木下 拓矢, 脇谷 伸, 山本 透: “MBD適用によるマグネシウム合金射出成形機の開発”,日本製鋼所技報, No. 72 (2021), pp. 7-12図13 射出ピストン応力状態と流出ポートの流れ日本製鋼所技報No.74(2023.11)技術論文5. 結  言参 考 文 献

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