3.3 高温変形のプロセスマップ3.4 変形組織観察3.4.1 1200 ℃における変形組織Ni基超合金IN-100の高温変形におけるプロセスマップ(26)図5に、ε= 0.3における鋳造材のプロセスマップを示す。また、表2に、流動応力の温度補正値を示す。図5より、本研究で構築した鋳造材のプロセスマップは、分散効率のcontourマップと、Instabilityマップにおけるξ< 0となる領域をcriteriaとした安定・不安定領域の組み合わせ(図中白点線)にて示す。なお図中の数字はηの小数点以下の下2桁を示している。低ひずみ速度側において、ηは1150 ℃×0.003 s-1近傍で極大値を示し、この領域近傍が安定変形領域であると示唆される。温度の低下に伴いηは減少するが、950 ℃近傍では再び極大を示す領域が存在した。また、温度に関わらず、ひずみ速度の増加に伴いηは急激に低下し、約1 s-1以上でη< 0となった。950 ℃以上において、約0.03 s-1以下のひずみ速度は安定領域に属するが、950 ℃以下では、このような低ひずみ速度側においても不安定領域が存在した。図6に、1200 ℃における典型的な変形組織として、真ひずみ0.6における0.01 s-1の結晶方位解析結果を示図5 鋳造材のプロセスマップ表2 IN-100の真ひずみ0.3における流動応力す。図6(a)の試験片をほぼ縦断する領域のIPFマップより、上下端近傍は試験機治具の拘束により、塑性流動の生じないDead Metal Zoneに相当するため、結晶方位は初期組織(図2)と同様の<001>配向が維持されている。柱状晶の幅・長さは共に約1 mmを超えて図6 1200 ℃ ×0.01 s-1の真ひずみ0.6における結晶方位解析結果 :(a-c, e)IPFマップ,(d)結晶方位(CD)マップおよび(f) IQマップ(a)縦断面全域,(b)(a)のA領域拡大図,(c,d)(b)のB領域拡大図および(e, f)(c)のC領域拡大図日本製鋼所技報No.74(2023.11)技術論文
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