Ni基超合金IN-100の高温変形におけるプロセスマップ3.4.2 1100 ℃以下における変形組織3.5 IN-100鋳造材の高温変形機構3.5.1 1200 ℃における高温変形挙動粗大である。一方、試験片中心部には初期組織と異なる<101>配向領域が形成され、その内部では微細な再結晶組織が認められた。また、この<101>配向領域において、図6(b)より、試験片中央部から離れた領域、すなわち<001>配向領域との境界近傍では、圧縮方向とおおむね垂直に伸長したバンド状の<001>配向領域が認められ、複数の<001>バンドがほぼ並行に連なって存在した。また、<101>配向領域の中心部に近づくにつれ、バンド間の幅が狭くなり、バンド間に等軸晶が形成している。図6(c, d)には<001>バンドのIPFマップおよびCrystal Direction (CD)マップを示す。なお、CDマップは、<001>に対して最大30°の領域をカラーマップにて示している。<001>バンド内では、<001>方向に対して最大30°程度の方位差が連続的に分布しており、<101>配向領域との明確な結晶方位関係は認められない。図6(e, f)には<001>バンド領域拡大図のIPFマップとIQマップを示すが、バンド領域の界面は数µm程度の微細な結晶粒からなり、後述するがこれらは動的再結晶粒と推定される。また、<101>配向領域内にはsub-boundaryの形成も認められ、このバンド領域はキンク帯の一種と考えられる。図7に、図6(a)の矢印方向における方位差分布を示す。なお、横軸は矢印始点からの距離を、黒丸は隣り合う測定点間の方位差を、赤丸は各測定点の始点に対する方位差を示す。柱状晶に平行な方向(図7(a))には、<001>配図7 方位差分布 : (a)柱状晶に平行および(b)柱状晶に垂直向領域から<101>配向領域の内部にわたり、連続的に方位差が増加するのに対し、垂直な方向(図7(b))にはほとんど方位差の増加は認められない。したがって、<101>配向領域は、ひずみの増加に伴い<001>配向結晶が連続的に回転することで形成されたものと考えられる。図8に、1100 ℃以下の真ひずみ0.6における結晶方位解析結果を示す。図8(a, b)より、一部に微細な等軸晶の形成が認められるものの、母相とΣ₃対応方位関係を有する変形双晶が多く認められた。この変形双晶は、温度の低下に伴いより顕著に認められた(図8(c-f))。一方、ひずみ速度が増加すると(図8(g, h))、変形双晶の形成はほぼ認められず、塑性流動の局在化により形成されたASBが認められた。高温変形組織は動的再結晶粒と変形した未再結晶粒とを含むため、動的再結晶挙動を議論するためにはこれら結晶粒を区別する必要がある。Ouyangらは(16)、次のcriteriaにて動的再結晶粒を識別した。1.結晶粒が15°以上の大角境界(HAB)で囲まれている。2.結晶粒サイズ <20 µm3. GAM (Grain Average Misorientation)値> 0.2図8 結晶方位解析結果: (a, b)1100 ℃ ×0.01 s-1, (c, d)1000 ℃ ×0.01 s-1, (e, f)900 ℃ ×0.01 s-1および(g, h)1000 ℃ ×1 s-1(a, c, e, g)IPFマップおよび(b, d, f, h)IQマップ(27)技術論文
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