日本製鋼所「技報74号」
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大型鍛鋼品における空隙閉鎖評価式の検討3.2 空隙閉鎖挙動度分布の2通りとした。空隙位置はFig. 10に示すa, b, cの3通りとしたが、弾塑性解析の際はFig. 11に示すように空隙a, b, cを異なるメッシュモデルで扱い、空隙位置の応力および塑性ひずみを計算するため、空隙のない中実モデルでも同様の解析を行った。また、空隙サイズはいずれの条件もφ20 mmとした。圧下要領はFig. 12に示すように、1パスあたりの圧下量を平金敷が150 mm/パス、V金敷では100 mm/パスとし、空隙が完全閉鎖するまでx方向→y方向→x方向⋯へパスを繰り返した。すなわち、奇数パスではx方向、偶数パスではy方向へ圧下した。また、弾塑性解析の材料特性や摩擦係数は2.2節と同様の値とした。Fig. 9 Temperature distribution after pre-coolingFig. 10 Void position in numerical experimentsFig. 11 Mesh model of numerical experiments(1/4 model)空隙閉鎖挙動の評価は、圧下後のx, y, z方向における空隙直径dx, dy, dzと空隙体積減少率1 - V/V0を用いて行い、1 - V/V0を計算する際は空隙を楕円近似して以下の(2)式で算出した。ここで、V0 は初期の空隙体積、V は圧下後の空隙体積、d0 は初期の空隙直径である。空隙閉鎖挙動を確認するため、1 - V/V0とdx, dyをFig. 13のように整理した。ここでは均熱条件における空隙aの空隙閉鎖挙動を説明する。弾塑性解析において空隙が閉鎖するまでパスを繰り返したところ、平金敷は5パス、 V金敷では7パスで空隙が完全閉鎖し、両金敷ともに空隙は奇数パスの圧下方向であるx方向に閉鎖した。また、平金敷では素材が圧下方向の直角方向(y方向)へ横膨らみしやすいため、空隙も扁平変形しながら閉鎖したのに対し、V金敷では素材の横膨らみが抑えられるため空隙の扁平変形も抑制されながら空隙が閉鎖した。さらに、両金敷とも偶数パスにおける1 - V/V0の変化Fig. 12 Forging procedures for numerical experiments(45)(2)

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