MPS法による粘弾性流体の数値シミュレーション博士(工学) 福澤 洋平*Dr. Yohei Fukuzawa博士(工学) 松永 拓也**Dr. Takuya Matsunaga工学博士 越塚 誠一***Dr. Seiichi Koshizuka We have developed a method to predict phenomena of viscoelastic fluids by particle method. With the aim of accurately simulating the behaviors of viscoelastic fluids with free surfaces, the moving surface mesh-incorporated LSMPS (Least Squares Moving Particle Semi-implicit) method has been extended to viscoelastic fluids based on the Oldroyd-B model. The developed method is verified using Weissenberg effect, which is a phenomenon unique to viscoelastic fluids. As a result, we succeeded in reproducing the Weissenberg effect. *:イノベーションマネジメント本部 先端技術研究所 Advanced Technology Laboratory, Innovation Management Headquarters**:東京大学大学院 新領域創成科学研究科 人間環境学専攻 Human and Engineered Environmental Studies, The University of Tokyo***:東京大学大学院 工学系研究科 システム創生学専攻 Department of Systems Innovation School of Engineering, The University of Tokyo値振動が発生しやすいことから、これらを抑制して高精度に予測するための課題を有する。また、自由表面を扱う主な手法として界面捕獲法であるVOF(Volume of Fluid)法やレベルセット法が用いられるが、これらの手法は自由表面の応力境界条件を厳密に取り扱うことができないため、粘弾性の効果によって大きく変形する自由表面形状の予測が難しい。一方で、ラグランジュ法である粒子法は連続体を粒子の集合体で表し、各粒子の運動を計算することで連続体の挙動を予測する手法であり、自由表面の追跡や大変形問題を容易に予測できることが最大の特徴である。粒子法の解法としてMPS(Moving Particle Simulation)法(1)とSPH(Smoothed Particle Hydrodynamics)法(2)が広く普及しており、粒子法の特徴を活かして幅広い産業分野で実用されている。しかしながら、計算過程で粒子配置が乱雑になった際には、(1)技術論文粘弾性流体の挙動と自由表面形状を正確に予測することを目的とし、移動サーフェスメッシュLSMPS法に粘弾性流体のOldroyd-Bモデルを適用し、粘弾性流体の挙動を高精度に予測する演算手法を新たに開発した。本解析手法を用いることで、粘弾性流体の特異挙動であるワイゼンベルグ効果を高精度に再現・予測でき、開発した解析手法の有用性が示唆された。 スクリュ回転による押出機内部の流れ場はせん断流れが支配的となるため、流動解析を実施する際には樹脂の流体モデルを一般的に純粘性非ニュートン流体として扱う。これらの流動解析は実績も豊富でありほぼ確立された技術となっている。一方で、押出後の自由表面を有する流動解析では、ダイスウェル現象やワイゼンベルグ効果に代表されるように、粘弾性流体の特性が顕著に現れる。これらの挙動を正確に再現・予測するためには、流体モデルを粘弾性流体として扱い、自由表面形状を妥当に予測する解析手法が必要となる。粘弾性流体の流動解析では格子法による予測技術が古くから開発されている。格子法はオイラー法であるため支配方程式に移流項が存在し、この移流項を離散化する過程で数値拡散や数1. はじめに要 旨技術論文Numerical Simulation of Viscoelastic Fluid by the MPS MethodSynopsisMPS法による粘弾性流体の数値シミュレーション
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