Rvの精度を確認するため、空隙モデルの1 - V/V0と比較したグラフをFig. 16に示す。グラフの対角線上に分布するほど予測精度が高いことを意味するが、Rvの予測精度は良好と判断した。4.1 空隙閉鎖評価式大型鍛鋼品における空隙閉鎖評価式の検討4.2 各係数の導出5.1 実機試験Fig. 15 Relationship between the reduction of void volume and plastic strain in x-direction前章で示したとおり、空隙閉鎖挙動を精度よく評価するためには、εpとσm/σeqの両方を考慮した空隙閉鎖評価式の構築が必要である。しかし、前章では空隙の閉鎖方向をあらかじめ確認した上でεp = εxとして評価をしたが、実機の空隙閉鎖挙動を予測するときは空隙閉鎖方向が未知である。そこで、本報告ではx, y, zの3方向に対して空隙閉鎖の可否を評価できるように(4)式に示す空隙閉鎖評価式Rvを考案した。ここで、Gmx, Gmy, Gmzはx, y, z方向における修正した静水圧応力比積分で、時刻tiにおけるが既知であるとすると、時刻ti+1におけるは(5)式で計算される。また、G0は空隙閉鎖に対する各Gmjの閾値、nはσm/σeqの影響、Aは圧下条件に応じた補正係数で、Table 5に示す8通りの値とした。従来のGmはσm/σeqをεeqで積分し、その値がある閾値を超えたか否かで空隙閉鎖を評価するが、Rvはσm/σeqを各方向の真ひずみで積分したGmjが閾値G0を超えてRv = 1.0となったときに空隙が完全閉鎖することを意味する。最適なG0, A, nの探索には、汎用計算ソフトMATLABに用意されている遺伝的アルゴリズムの一種である粒子群最適化法(Particle Swarm Optimization)を用いた。粒子群最適化法は、ある候補値Xiをひとつの粒子として扱い、複数の粒子が互いに情報を共有しながら最適解を探索する手法であり、多変数の最適化問題に推奨される解法である。3章で示した12通りの解析結果に対し、空隙モデルで得られた空隙体積減少率Rv1 (=1 - V/V0)と、式(4)を用いて算出した空隙体積減少率Rvの差分の総和をとり、この値が最小となる候補値Xを探索した。また、探索条件は粒子数1000×世代数50回とした。ここで、鍛造途中の空隙形状の変化も評価対象とするため、式(6)に示すように鍛造中の各時刻tにおける結果を累積した。なお、探索した各係数の値は当社のノウハウであるため割愛する。(4)(5)前章で構築した空隙閉鎖評価式の妥当性を検証するため、60 ton鋼塊(NiCrMoV鋼)を用いて実機試験を行った。実機試験に用いた鋼塊の形状をFig. 17に示す。実機試験ではφ1917 mm×L2245 mmの60 ton鋼塊を□1320 mmの角柱形状に鍛伸後、超音波探傷試験(UT)をTable 5 Classifi cation of coeffi cient A(47)4. 空隙閉鎖評価式の構築5. 実鋼塊を用いた空隙閉鎖評価式の検証技術論文(6)
元のページ ../index.html#51