日本製鋼所「技報74号」
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3.1 試験材料3.2 試験方法二軸押出機TEX®用特殊混練スクリュ3.3 試験結果本開発では、VKDの性能検証試験として、PPとフィラーを用いたPPコンパウンドプロセスを採用することとした。マトリックス樹脂にはPP(プライムポリマー社製J709QG, MFR = 55 g/10 min)を用い、フィラーにはタルク(浅田製粉社製JM209, 嵩密度0.274 g/cc)を用いた。また、この検証試験ではタルクの添加量は押出量に対して40 wt%とした。図4にこの性能検証試験で利用した試験装置の模式図を示す。この検証試験では、二軸押出機(TEX44αⅢ、L/D = 52.5)を用い、PPおよびタルクは2種類の重量式フィーダー(J-NX-T45)を用いてそれぞれ最上流のシリンダの投入口から供給した。また、図5にこの性能検証試験で使用したスクリュ形状を示す。山頂部リードが3Dおよび8Dである2種類のVKD、およびVKDの比較対象であるKDをそれぞれ可塑化部である比較混練部に導入し、そのL/Dは12とした。比較混練部以外のスクリュ形状は同一とした。山頂部リードが8DのVKDを使用したスクリュをスクリュ1、山頂部リードが3DのVKDの場合をスクリュ2、そしてKDを使用した場合をスクリュ3と称することとした。吐出量100 kg/h、スクリュ回転数200 rpm、シリンダ設定温度230 ℃の操作条件において、単位押出量当図4 性能検証試験で利用した試験装置の模式図図5 性能検証試験で利用したスクリュ形状たりにモーターから樹脂に付与されるエネルギーを示す比エネルギー(Esp)、および二軸押出機内での可塑化開始点の観察から前記の3種のスクリュ形状の混練性能を評価した。なお、可塑化開始点の観察では、安定運転状態の二軸押出機内に少量の着色ペレット(越谷化成社製9031P 汎用MB)を投入し、その後、二軸押出機を停止して即座に可塑化部分のベントプラグを取り外すことで実施した。図6に3種のスクリュ形状をそれぞれ用いた場合のEspを示す。リードに依らず、VKDを用いたスクリュ形状(スクリュ1、スクリュ2)の方がKDを用いたスクリュ3よりもEspが約10 %向上しており、VKDのV字型の山頂部の存在が樹脂に対する高せん断作用付与に有効であることが確認された。また、VKDの山頂部図6 3種のスクリュを用いた場合のEspの比較(53)3. VKDの性能検証試験技術報告

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