日本製鋼所「技報74号」
59/114

食品包装向け無延伸シート成形装置の要素技術とAI・IoT技術2.1 多層化技術浜崎 紘輝Hiroki Hamasaki1. 緒  言博士(工学) 串崎 義幸Dr. Yoshiyuki Kushizaki田代 健太郎Kentaro Tashiro要   旨Takayuki Kawakami川上 孝之(55) To extend the expiration date as a measure against food loss, demand for multi-sheet for food packaging, such as cup containers, fruit and vegetable packaging, and lunch boxes, is growing. Therefore, in this report, it was introduced the technologies of multi-layer, touch molding and AI/IoT for Sheet Production Line, and new test line scheduled to be launched in FY2023 equipped with these new technologies.図1 無延伸シート成形装置広島製作所 樹脂加工機械部 Plastics Processing Machinery Department, Hiroshima Plantの要求品質として、①内容物の酸化や移り香を防ぐための保護性、②内容物の視認性、③製品厚みの均一性など多岐にわたる。この際、①は機能の異なる樹脂を積層化する『多層化技術』、②はシートに光沢と透明性を付与する『タッチ成形技術』、③は人間の勘と経験に頼らない『AI/IoTを活用したソフトウェア技術』が必要となる。本報告では、これらの技術取り組みと2023年度に立ち上がる新技術を搭載したテストラインについての紹介を行う。食品包装では、機能の異なる樹脂を積層することによって、必要な特性を持たせることが一般的である。当然、積層する樹脂粘度が異なるため、適切な条件で積層しないと界面で不安定現象が生じる。一方で、積層時の界面が自由境界であるがゆえ、境界条件が複雑となり、解析技術報告フードロス対策として賞味期限を延長するために、カップ容器、青果物包装や弁当容器などの食品包装用シートの需要が伸びている。そのため、本報告では、無延伸シート成形装置について多層化、タッチ成形、AI/IoTの技術紹介を行った。これらの新技術を搭載した2023年度に立ち上げ予定のテストラインについての紹介を行う。無延伸シート成形装置(図1)は、押出機、Tダイ、キャスト装置および巻取機から成る機械構成であり、生産性や製品厚みの均一性に優れる。それゆえ、大量生産されるポリオレフィン系樹脂などの成形に用いられ、我々の身近に存在するカップ容器、透明材、青果物包装や弁当容器などの食品包装用のシートがそれに該当する。また、食品包装2.無延伸シート成形技術技術報告Elemental and AI/IoT Technologies of Sheet Production Line for Food Packaging Synopsis食品包装向け無延伸シート成形装置の要素技術とAI・IoT技術

元のページ  ../index.html#59

このブックを見る