食品包装向け無延伸シート成形装置の要素技術とAI・IoT技術当社は、これまで構築してきた『多層化技術』、『タッチ成形技術』、『AI/IoTを活用したソフトウェア技術』を搭載した新しい無延伸シートテスト装置(新設テスト機)を2023年度に立ち上げ予定である(図13)。この新設テスト機では、3種5層の多層化に対応し、前節で紹介した「ezDRIVERR」、「Smart AdjusterTM」、「Repex J–TACTM」を搭載している。また、少量サンプルでの試験可能なように装置もコンパクトであり、必要な押出量は最大で100 kg~120 kg/h程度である。成形可能なシート幅は0.05 mm~500 mm、シート厚みは0.05 mm~1.5 mmで、機械速度は最大200 m/minである。本装置は、設置後も新規開発アイテムならびにAI/IoT技術を随時搭載するデモ機であり、自動化についての最新技術の搭載や成形中のフィルム温度やロール熱伝達係数などについても自動計測可能とする予定である。フィルムシートの要求品質は年々高くなっており、それに伴い無延伸シート成形装置の要求性能も高くなっている。今後も当社は、AI/IoT分野や無延伸シート装置の要素技術を高め、その成果を新設テスト機に随時搭載していくことで、お客様の製品開発に協力したいと考えている。また、近年では、海洋プラスチックなどフィルムパッケージが問題となっている一方で、フードロスなどの問題から、食品を長持ちさせるため、フィルムパッケージ需要が高まっている。このような矛盾を解消するため、減容化を可能とし、リサイクル性の高い装置を開発し、今後予測されるサーキュラーエコノミーに貢献していきたいと考える。(1)Walter Michaeli and Christian Hopmann:Extrusion Dies for Plastics and Rubber : design and engineering Computations, Hanser Pub. Inc. (2016)(2)E. Mitsoulis, J. Vlachopoulos, and F. A. Mirza:“Numerical simulation of entry and exit flows in slit dies” Polym. Eng. Sci., No. 24(1984), pp. 707-715 (3)R. B. Bird, R. C. Armstrong, and O. Hassager:Dynamics of Polymeric Liquids, Vol.1, Wiley(1977)ezDRIVERRは株式会社日本製鋼所の登録商標です。3. 新設無延伸シート成形装置4. 結 言参 考 文 献(60)
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