日本製鋼所「技報74号」
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MPS法による粘弾性流体の数値シミュレーション3.1 円筒回転問題による検証解析xij =xj - xi 、yij = yj-yiである。(15)式において、重み付き二乗誤差Jは以下となる。勾配(∇)とラプラシアン(∇2)の微分演算子に対して、ある粒子iとその近傍の粒子jとの間で粒子間相互作用モデルを与え離散化を行うが、この粒子間相互作用モデルは等方的な粒子配置を仮定し導出しているため、計算過程中に粒子が不規則な配置になると予測精度が著しく低くなることが知られている。一方でLSMPS法はこの問題を改善するために考案された手法で、Taylor展開と最小二乗法を用いて空間離散化を施すことで、不規則な粒子配置に関わらず高精度の予測が可能となる。LSMPS法にはtype-Aとtype-Bの形式があるが、本論文では、最も基本的なLSMPS type-Aを用いた離散化について説明する。ある粒子iの近傍粒子jにおける関数φのTaylor展開は以下となる。は近似の次数を決める正の整数、はスケーリング係数である。(14)式は以下のように表すことができる。は多項式ベクトル、はスケーリング行列、■は微分作用素ベクトルである。例えば、=2の場合は以下のように成分表示される。であり、は未知数ベクトル、は重み関数、は影響半径である。重み付き二乗誤差Jを最小化する正規方程式は次のようになる。モーメント行列が特異行列でない場合はただ一つの解が存在し、正規方程式(22)式の解が得られる。(13)最終的に、勾配(∇)とラプラシアン(∇2)は以下のように計算することができる。(14)(15)本解析手法の妥当性を検証するために、図1に示す円筒回転問題での解析を行った。円筒半径r0=0.1 mの内部に高さh0=0.2 mの流体を配置し、重力加速度= 10 m/s2を与え回転速度Ω = 5,10 rad/sの2条件で回転させた。流体は密度ρ=1000 kg/m3、粘度η=0.001 Pa・sの純粘性ニュートン流体とし、粒子間距離(粒子径)l0を1.25×10-3 mと2.5×10-3 mの2流体とした。また、解析対象領域は2次元軸対称問題として扱った。(16)(17)(18)(19)(20)(21)図1 円筒回転問題の計算モデル(3)3. 検証解析技術論文(22)(23)(24)(25)(26)

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