日本製鋼所「技報74号」
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オートクレーブ型LDPEリアクター塔内非破壊検査装置の開発と実用化上記2項で挙げたLDPEリアクターの設計構造によるSDI導入における課題を解決するため、次の要求性能に基づき塔内非破壊検査装置を開発した。① リアクター余寿命へ影響する損傷(1)を検査対象・ボディー内表面の局部減肉、凹みや亀裂状欠陥・クロスボアクラッキング・クロスボア内面コーナー部近傍の局部減肉・ジャケットの既設溶接部からの疲労亀裂進展② 追跡調査(1)が可能・探傷結果(欠陥位置とサイズ)の映像化と記録・寿命解析の妥当性検証と更新③ SDI期間を短縮(1)・ジャケットの取り外しと再組み立て不要・検査員の入塔による塔内検査作業不要検査手法(ユニット)と適用部位の関係、リアクター製作実績から設定したボディーとクロスボアの寸法に対する塔内非破壊検査装置の適用範囲を表1、表2にそれぞれ示す。これまでの検査員の入塔による塔内検査の実績から、クロスボア内面コーナー部近傍では局部減肉、凹み、擦り傷に分類される損傷が検出されている(1)。これらの損傷の検出、位置の特定とサイジングのための検査手法にはカメラによる目視検査(VT : Visual examination)、レーザースキャンによる寸法検査(DT : Dimensional check)を採用し、局部減肉に対してφ1.0 mm範囲を欠陥検出能とした。さらに、クロスボアクラッキングに対しては、MTによりクロスボア内面コーナー部でMin. R1 mm長さで探傷し、そのインディケーションをVTにより測定する仕様とした。同様にボディー内表面の全面探傷においても、局部減肉に対する検出能をφ1.0 mm範囲とした。また、図5に表1 検査手法(ユニット)と適用部位の関係表2 LDPEリアクターのボディーとクロスボアの寸法に対する塔内非破壊検査装置の適用範囲示すジャケットの既設溶接部からの疲労亀裂進展の検査手法にはFMC/TFM(Full Matrix Capture / Total Focusing Method)を採用し、周方向±45°傾きに対して亀裂深さ5 mmを亀裂検出能とした。現地SDI工事におけるLDPEリアクター塔内非破壊検査装置の施工方法を図6に示す。評価対象欠陥、損傷に応じて、①VT/DTユニット、②MTユニット、③UT(FMC/TFM)ユニットを駆動ユニットへ搭載し、検査装置としてリアクターへ入塔させる。検査対象とする図5 リアクタージャケット既設溶接部からボディー外表面へ進展した疲労亀裂の概略図図6 LDPEリアクター現地SDI工事における塔内非破壊検査装置の施工方法日本製鋼所技報No.74(2023.11)技術報告3. 塔内非破壊検査装置への要求性能(76)4. 塔内非破壊検査装置の性能検証

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