日本製鋼所「技報74号」
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MPS法による粘弾性流体の数値シミュレーション図6に各λの条件とニュートン流体の定常状態での自由表面形状の計算結果、およびニュートン流体の理論解を示す。ニュートン流体は外向きに遠心力が働くことで、中心ロッドから流体が離れる挙動となり、中心ロッド近傍で液面が初期液面高さよりも低くなっている。また、自由表面形状は理論解と良好に一致しており、計算結果の妥当性が示唆された。粘弾性流体では、λが大きくなるにつれ、中心ロッド近傍での液面が高くなる結果が得られた。中心ロッドが回転すると、内側の流体に生じる応力は外側に比べ大きく、また伸びも大きくなる。粘弾性流体は伸びが大きいほど、元の状態を維持する張力、すなわち法線応力差が発生し、この法線応力差による内図4 ワイゼンベルグ効果の計算モデル図5 速度分布の計算結果図6 粘弾性流体とニュートン流体の自由表面形状、および理論解側方向への力が大きくなる。その結果、外側の流体は内側へと流れ、中心ロッド部で盛り上がる挙動となる。次に、粒子間距離l0=6.25×10-4 mの高解像度とし、回転速度Ωを変化させて計算を行った際の、流体がロッドに巻き付く高さhについて理論解(9)と比較した。以下に理論解を示す。Rは中心ロッド半径、σは表面張力、ρは流体密度、Wiはワイゼンベルグ数、ξはパラメータである。図7に各回転速度Ωでのh⁄RとWi2の関係について、予測結果と理論解をそれぞれ示す。予測結果は、ワイゼンベルグ数が小さい(回転速度が小さい)場合に理論解とよく一致しており、一方で、回転速度が大きくなるにつれて予測結果が理論解から徐々に乖離している。この原因は、巻付き高さの理論解(28)式の右辺第2項において4 次以上の項を無視しており、回転速度が増すにつれて理論解自体の誤差が次第に大きくなるためと考えられ、こ論解自体の誤差が次第に大きくなるためと考えられ、これらの誤差を考慮すると、計算結果は理論解と同等の結れらの誤差を考慮すると、計算結果は理論解と同等の結果が得られている。果が得られている。以上のことから、本解析手法によって粘弾性流体のワイゼンベルグ効果を高精度に再現できている。ワイゼンベルグ効果を高精度に再現できている。図7 巻付き高さの計算結果と理論解との比較(5)(a)λ= 0.1 s(b)λ= 0.5 s技術論文(28)(29)(30)

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