日本製鋼所「技報74号」
91/114

(1)主な特徴(2)スクリュ・シリンダ(3)ダイプレートをラインナップしており、要求処理能力に最適な押出機サイズを提供することが可能となっている。いずれの機種もL/D(L:シリンダ全長[mm]、D:シリンダ内径[mm])は13~16が標準である。 4. P800の特徴についてP800はLDPE/EVA造粒用単軸押出機において、これまで最大機種であったP700と比較して、最大処理能力が約1.3倍に向上している。表2にこのたび納入したP800初号機の主仕様を示す。スクリュ回転速度、主モータの容量、ダイプレートおよびペレタイザ等は、このプロジェクトの要求処理能力75 t/hおよび適用原料のせん断粘度等の物性を考慮して設計されている。図3および図4にP800初号機のスクリュおよびシリンダの外観写真をそれぞれ示す。P800のスクリュはスクリュ軸にスクリュピースをはめ込むセグメント構造を採用している。このセグメント構造の採用によって、一部のピースに摩耗が生じた場合、そのスクリュピースのみの交換が可能になっている。また、スクリュのフライト頭頂部は長期の使用に耐えられるよう耐摩耗性を高めており、その他のスクリュ表面にはLDPE/EVAの表2 P800初号機の主仕様図3 P800初号機のスクリュ滞留劣化を抑制する表面処理(メッキ等)が施されている。P800初号機のシリンダは6つのシリンダを連結した構成となっている。シリンダ内部には熱媒循環用のジャケット流路が設けられており、これによってシリンダの加熱・冷却が可能となっている。製品となるペレット形状を均一に保つカッティングには、ダイプレートが重要な役割を果たしている。特に、EVAは酢酸ビニルの含有量が高くなるほど、融点が低下するために冷却固化しにくく、また粘着性も高いためにペレットが互着しやすくなる。そのため、樹脂の種類・物性に応じてダイプレート内部の樹脂流路、熱媒流路およびノズル配列を最適配置することによって、ダイプレート内での樹脂流動を均一化し、ペレットの互着なく、安定して良形状なペレットを得ることができるカッティングを実現している(図5)。 5. おわりに昨今のカーボンニュートラル推進を追い風にソーラーパネル用途のEVAの需要が増加しており、今後もLDPE/EVA造粒用単軸押出機の高能力化が進行していくことが予想されている。今後も継続的にLDPE/EVA造粒用単軸押出機の技術開発に取り組み、高い信頼性と処理能力を両立可能なLDPE/EVA造粒用単軸押出機を提供していくことによって、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していく所存である。図4 P800初号機のシリンダ図5 ダイプレート(87)製品・技術紹介製品・技術紹介

元のページ  ../index.html#91

このブックを見る