3.1 装置一括操作(88)図1 無延伸ラインへのezDRIVER搭載例軸延伸ラインのPLCへそれぞれezDRIVERを搭載した場合の模式図を示す。装置構成の異なるフィルム製造ラインであっても、ezDRIVERを利用すれば同一の操作感で操作することが可能となる。 3. ezDRIVERの主要機能ezDRIVERには、フィルム製造ラインの構成装置のパラメータ(速度・温度等)の変更値および変更時間を設定することによって、起動中のすべての構成装置のパラメータを一括変更する機能が搭載されている。この機能によって、例えば、経過時間ごとにフィーダ供給量を段階的に増減させることで、真空吸引開始や下流の冷却装置への通紙等、運転モード移行のタイミングに合わせて必要な箇所に作業者を集中的に配置することができるようになるため、フィルム製造ラインの省人化を図ることが可能になる。また、この機能は、経験値によらず、すべての作業者が簡単にフィルム製造ラインを操作することを可能にするため、熟練作業者への依存度を軽減できるというメリットも有している。ezDRIVERに設定したパラメータの変更値および変更時間は、フィルム製品ごとにレシピとして保存することが可能であり、製造するフィルム製品に合わせてレシピを呼び出し、前回と同様なパラメータを使用することができる。また、ezDRIVERでのパラメータ設定、および確認はタッチパネルで行うことができ、フィルム製造ライン周辺での取り扱いも容易である。各パラメータは運転モードおよびステップごとに表示箇所をまとめる等、簡潔かつ視認性の高さにこだわった画面構成としており、操作ミスの防止にも努めている。図2 二軸延伸ラインへのezDRIVER搭載例日本製鋼所技報No.74(2023.11)製品・技術紹介 1. はじめに昨今の製造現場では人材不足の解消や生産性の向上、品質の安定化などの実現のために工場自動化(Factory Automation:FA)を進める企業が増加している。この工場自動化の動きはフィルム製造ラインも例外ではなく、省人化や効率性向上に対する自動化のニーズが飛躍的に高まっている。フィルム製造ラインの自動化においては、構成装置が多数存在するため、管理すべき箇所が多数あり、広範囲にわたってオペレータの手が必要とされるという課題がある。また、各構成装置の操作には専門的な技術やノウハウを要するため、熟練作業者の減少が製品品質や生産性を阻害しかねない。これらの背景から当社ではフィルム製造ラインの自動化や操作性向上をコンセプトとして“先進操作支援システム「ezDRIVER」”の上市を開始した。本稿ではこのezDRIVERの有する機能について紹介する。 2. システム構成当社のフィルム製造ラインは、原料の種類や延伸方法等に応じて構成装置の選定・最適設計を図っている。制御システムについても同様であり、汎用PLCやオリジナル専用コントローラー「EXANET®」の採用など、ハード/ソフトともに多様な組み合わせが可能となっている。ezDRIVERは、このような多様な組み合わせへの対応を想定して設計されており、フィールドネットワークに繋がっているPLCもしくはEXANETへ搭載される。図1および図2に無延伸ラインのEXANET、および二製品・技術紹介フィルム製造ライン向け先進操作支援システム「ezDRIVER®®」」フィルム製造ライン向け先進操作支援システム「ezDRIVER
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