日本製鋼所「技報74号」
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(1)生産安定化、歩留まり向上、省人化(2)不良発生の未然防止不良発生時に調整する条件VP切替位置[mm]保圧圧力[MPa]基本成形条件変更上限3019変更下限40202815(90)図1 J-WiSe®製品カテゴリー表1 M-Navi.成形条件修正の設定例日本製鋼所技報No.74(2023.11)製品・技術紹介 1. はじめに“J-WiSe®”は、当社が目指すIoTソリューションの総称である。その中は、4つのカテゴリーに分かれており、「生産管理」「運転支援」「サービス・保全」「生産自動化システム」に沿ったシステム・サービスを提供することにより、お客様成形工場のスマートファクトリー化を目指し、生産性の向上に貢献する(図1)。本稿では運転支援カテゴリーのAI Molding Navigator(M-Navi.)の概要と導入事例について紹介する。 2. M-Navi.概要射出成形機においては、樹脂ロットの変化、消耗部品の経年劣化、リサイクル材の混合割合バラツキなど、成形機のハードウェアによる安定性改善だけでは良品を継続して成形することが困難となる要因が存在する。このような状況においては成形技術者による成形条件調整が必要となる。M-Navi.は成形不良の発生あるいはその予兆が見られた場合、成形技術者に代わってAIが不良修正の成形条件を提案し、これをオペレータが成形機に入力することで良品状態に復帰、もしくは不良の発生を未然に予防するソリューションである。 3. 主な特長M-Navi.は、オペレータに代わって射出成形機の測定値、追加センサーや製品検査装置などから出力されるデータを常に監視する。成形不良が発生した場合、あらかじめ設定された範囲(表1参照)で修正のための成形条件を提案する。オペレータは提案された成形条件を確認し、適用すべきと判断した場合に条件変更を行う。オペレータによる確認、入力作業が入るため、既に成形条件設定値、変更理由を日報などに記録をしている場合においても構築済みシステムを変更することなく、M-Navi.の提案による成形条件変更も管理することが可能となる。また、M-Navi.が成形条件提案を行うことで、射出成形に習熟していないオペレータも成形条件を調整することが可能となり、不良品数の最小化による省資源化・歩留まり向上や成形技能士の負荷軽減、人手不足解消といったメリットが得られる。M-Navi.では、条件提案の動作しきい値を低めに設定することで、規定の品質基準で不良となる前にM-Navi.が成形条件を提案し不良を未然に防止する。ただし、製品検査バラツキが大きい場合や早めに条件変更することで別の不良が発生してしまう場合においては、しきい値の設定が低すぎると適切に動作しないこともあるため、しきい値は成形品を考慮して設定する必要がある。製品・技術紹介 AI Molding Navigatorの紹介 AI Molding Navigatorの紹介 AI Molding Navigatorの紹介

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