図1 大型SOFITスクリュ・シリンダ構成リュ・シリンダを用いる。そして、本減圧ゾーンに10 MPa以下の低い圧力で不活性ガスをボンベから直接供給する。従来法(MuCell®法)と比較すると、高圧ガス注入装置が不要なため、より簡便なシステムとなっている。また、中小型機はガス導入部を1箇所としているが、大型機ではガス導入箇所を2箇所とすることで、より多くのガスを供給することが可能である。 3. 特 長図2にポリプロピレン樹脂製成形品(コンテナ)の重量のショット間ばらつきを示す。供給ガスは窒素ガスを用い、供給ガス圧は8 MPaにて成形を実施した。一般的に、発泡成形における重量ばらつきは標準成形(ソリッド)に比べて大きくなるが、大型SOFITにおいてはほぼ同等の重量ばらつきが得られた。SOFITでは低圧の窒素ガスを供給するため樹脂中の窒素ガス溶解量、および型内での発泡状態が安定しており、標準成形と同等の安定した成形が実現できる。表1に各発泡成形の特長を示す。従来の物理発泡成形や化学発泡における課題としてライフサイクルコストが挙げられる。この課題に対して、SOFITは装置構成の簡易化によるイニシャルコストの低減と、年次点検が不要となることからメンテナンスコストを低減、かつライフサイクルコストを大幅に低減でき、欠点が少なくコストパフォーマンスに優れた成形プロセスである(図3)。図2 ソリッド成形とSOFIT成形の成形品重量のショット間ばらつき 1. はじめに近年、プラスチック射出成形品は地球温暖化や、海洋プラスチックごみの問題などに対処するため、プラスチック使用量の削減が求められている。プラスチック使用量削減に繋がる発泡成形は、自動車業界をはじめ家電や日用品業界など様々な分野において注目が高まっている。しかし、主に国内で量産されている化学発泡成形では、発泡剤の残渣等によってリサイクルが難しいことから、環境負荷材が含まれておらず、かつリサイクルに適している物理発泡成形が望まれている。大型機に先駆けて販売を開始した中小型機用物理発泡成形システムSOFITは、従来の物理発泡成形システムに比べて、イニシャルコストが低く、お客様から好評いただき、これまで数十社からテスト依頼を受注し、製品開発を進めている。自動車業界では大型製品の使用が多く、プラスチック使用量削減効果も大きいことから、SOFITのさらなる大型化が求められていた。このニーズに応えるべく、この度、大型機用物理発泡成形システムSOFITを開発した。 2. 装置構成図1に開発した大型機用SOFIT成形機の構造を示す。SOFITは可塑化ゾーンの下流側に減圧ゾーンと不活性ガスを導入するためのガス導入口を配置した専用のスクSOFITは株式会社日本製鋼所の登録商標です。(92)大型機用物理発泡成形システムSOFIT®大型機用物理発泡成形システムSOFIT®
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