日本製鋼所「技報75号」
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専務執行役員馬本誠司日本製鋼所技報75号の発行にあたり一言ご挨拶を申し上げます。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は開始から2年を超えさらに長期化の様相を呈しており、中東をはじめ世界各地での紛争も終息せず、国際関係の緊張も一層高まってきております。世界経済の先行きがこれまで成長をけん引してきた中国の減速が顕在化し不透明となるなか、本年は世界各国で政権交代につながるような重要な選挙が行われており、地政学的なリスクは益々高まり、まさにVUCAの時代となっています。さらに近年、世界各地で猛暑や大雨により甚大な被害をもたらす気象現象が頻繁に発生し、気候変動による各種リスクに加え、食料・人口問題など地球レベルで対処すべき課題に対して、早期解決に向けた対応が求められています。当社グループでは、2022年に「Material Revolution■の力で世界を持続可能で豊かにする」というパーパスを起点とした企業グループ理念体系を制定しました。この理念体系を基盤とし、「社会課題を解決する産業機械と新素材の開発・実装を通じて持続可能で豊かな世界の実現に貢献する」というサステナビリティ目標と、10年後に「売上高5,000億円規模の企業グループを目指す」という財務目標を同時に実現したい、と考えております。これらの目標を実現するために、本年6月に「新たな成長に向けた変革と挑戦」と位置付けた中期経営計画JGP2028を制定いたしました。この中期経営計画JGP2028では、経営数値目標だけでなく、非財務目標として、①プラスチック資源循環社会の実現、②低炭素社会への貢献、③超スマート社会への貢献をマテリアリティ(重要課題)と捉え、この3つのマテリアリティを解決しながら企業価値を向上していくことを目指しております。本号では当社のパーパスである「Material Revolution■の力で世界を持続可能で豊かにする」という理念に基づき、「溶かす」「混ぜる」「固める」技術に「機械要素技術」「精密制御技術」を加えたコア・コンピタンスに沿ったテーマも選定してご紹介しております。プラスチック材料の削減と製品の軽量化を図る低圧物理発泡射出成形法に関わる技術論文、低炭素社会への貢献に寄与する炭素フリー燃料(水素やアンモニア)の合成や貯蔵のための機器(容器や配管等)の長寿命化につながる技術論文などの紹介に加え、資源循環社会実現に寄与する二軸混練押出機によるリサイクルの取り組みや、超スマート社会への貢献につながるパワー半導体向けレーザーアニール装置の紹介などを掲載しております。当社グループは1907年の創業以来、「ものづくり」と「価値づくり」を通じて社会に貢献する、というたゆまぬ姿勢で取り組んで参りました。持続可能で豊かな社会の実現のため、今後一層の努力を続けて参ります。皆様におかれましては、日本製鋼所グループの技報をご一読いただき、倍旧のご指導とご鞭撻をお願い申し上げる次第です。巻 頭 言

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