技術報告技術報告二軸押出機を用いた架橋ゴムのリサイクル手法である脱硫プロセスにおいて、第一混練部(微粉砕部)のスクリュ形状が製品品質に及ぼす影響について検討を行った。試験に用いるスクリュ形状は、二軸押出機の混練シミュレーションソフトTEX-FANを用いて検討した。EPDM加硫ゴムシートを使用して脱硫試験を行ったところ、混練部内部の充満率が高い方が良好な微粉砕結果を得られ、微粉砕部通過後の原料の粒子径が小さい方が製品のムーニー粘度が低下し、脱硫が効果的に行えることがわかった。In devulcanization process using twin screw extruder, the effect of the screw configuration in the first kneading zone (material grinding zone) on discharged product quality was investigated. The screw configurations used in tests were examined and selected using the twin screw extrusion simulation software “TEX-FAN” . Devulcanization trials were conducted using EPDM vulcanized rubber sheets. It was found that a higher filling rate inside the material grinding zone resulted in better pulverization outcomes, and smaller particle sizes of the raw material after passing through the pulverization section led to a decrease in the Mooney viscosity of the product, thereby achieving more effective devulcanization.二軸押出機は連続処理による生産効率の高さや、シリンダをはじめとした装置構成をプロセスごとに自由に変更できる高いフレキシビリティーを持つことから、近年ではプラスチックの混練プロセスのみならず、廃棄プラスチックや廃棄ゴムのリサイクル用途としての活躍が注目されている。通常、ゴム製品は弾性などを持たせるために硫黄化合物を用いて架橋させた加硫ゴムであるため、流動性や加工性に乏しい。廃棄されたゴムをリサイクルするためには適切なエネルギーを用いて架橋を切断しゴムを原材料に近い流動性や加工性を持つ状態に戻す必要があり、その操作を脱硫と二軸押出機TEXⓇを用いた脱硫技術杉谷 亮汰Ryota Sugitani1. 緒 言(33)柏原 優樹Yuuki Kashihara佐賀 大吾Daigo Saga要 旨東定 誠Makoto Tojo広島製作所 樹脂製造機械部Plastics Machinery Department, Hiroshima Plant呼ぶ。脱硫は二軸押出機が適用可能なリサイクルプロセスのひとつであり、当社では長年研究開発や改良に取り組んでいる。持続可能な社会を築くためにも、廃棄ゴムのリサイクル需要は今後高まることが予想される。本稿では二軸押出機TEX を用いた脱硫プロセスの要素技術について紹介する。日本製鋼所技報 No.75(2024.11)二軸押出機TEXⓇを用いた脱硫技術Devulcanization Technology Using Twin Screw Extruder TEX®Synopsis
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