日本製鋼所「技報75号」
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技術報告4.2 テスト結果二軸押出機TEXⓇを用いた脱硫技術られない可能性を示すものと予想された。これらに対し、Screw Cでは、混練部の内部に抵抗となるスクリュを配置していることにより、混練部全体の充満率が高くなっており、混練部入り口付近から急激な温度上昇が得られていることからも混練の効率が高いことがうかがえる。また、抵抗となるスクリュは過剰な発熱を防ぐことに主眼を置き選定しているが、充満率が低いことから弱混練となっているScrew Bとほぼ同等の樹脂温度結果となっていることからも、それがその通りに機能しているものと推察される。以上の結果より、Screw Cが最も原料の微粉砕化に有効なスクリュであることが示唆された。テストで用いた装置の構成を図4に示す。 原料は、三ツ星ベルト(株)製EPDM加硫ゴムシート(商品名:ネオ・ルーフィングE)を使用した。脱硫工程には当社製二軸押出機TEX44αⅢを使用した。また、テストで用いたスクリュ形状の基本構成を図5に示す。ゴム微粉砕部通過後のゴム粒径と出口ムーニー粘度の関係を確認するために、ゴム微粉砕部形状のみを変更し比較した。これらを用いて、様々な運転条件で運転を行いデータ取りを行った。出口から吐出される脱硫されたゴムの塊をサンプルとし、そのムーニー粘度を測定して評価した。表2の結果より、第一混練部(微粉砕部)通過後のシリンダC7における原料の粒径は、Screw A > Screw B > Screw C の順で高い値を示した。これは、図3に示すTEX-FANの結果における微粉砕部の充満率と相関を示しており、TEX-FANを用いた微粉砕スクリュ形状の性能評価が有効であることが確認された。また、表2の結果を用いて、図6に第一混練部(微粉砕部)通過後のゴム粒径とムーニー粘度の関係を示す。図3 TEX-FANによるゴム微粉砕部スクリュ形状の計算結果これより、Screw A > Screw B > Screw C の順で高い値を示し、第一混練部通過後のゴム粒径が粗いほど、出口ゴムのムーニー粘度は高い値を示す傾向を確認した。脱硫部に搬送されるゴム粒径が細かいほどゴムの表面積は増え、圧縮時に発生する摩擦熱が増えることが要因のひとつであると予想される。図6 第一混練部(微粉砕部)通過後のゴム粒径とムーニー粘度の関係図4 装置構成図5 基本スクリュ形状表2 運転条件とムーニー粘度結果(36)

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