3. 二軸押出機による大豆ミート製造プロセス技術報告食品用二軸押出機による大豆ミート製造プロセスと予測シミュレーション図1に二軸押出機の外観、図2に二軸押出機を用いた大豆ミート製造プロセスの概要を示す。大豆ミートの原料は乾燥大豆から油を抽出して得られる粉末状の脱脂大豆である。原料となる粉末状の脱脂大豆は重量式フィーダによって二軸押出機へ投入された後、ブランジャポンプによって原料:水=6:4の割合になるように水が加えられ、混合ゾーンで均一に混ぜ合わされる。その後、下流の溶融・混練ゾーンへと搬送されたのち、シリンダ温度130 ℃以上で混練される。この混練の際、原料温度が130 ℃以上に達すると、脱脂大豆の各成分が熱溶融を始めるとされており(7)、それによりタンパク質の成分が他成分と分離して、均一相が形成される。先端部の押出ダイによる冷却ゾーンでは、これまでの高温高圧下の混練により粘度上昇した原料内部と冷却されているダイ内壁面の間に温度差が生まれ、粘度勾配を生じる。粘度勾配によって材料速度差が発生するとともに、狭いダイ流路を流れることで生まれる高いせん断作用により、原料は配向する。しかし、そのままの状態では原料の粘度が非常に高く延伸が難しいため、繊維状に延伸するには冷却ダイの温度調整が重要となる。最後に、ダイ出口から大気圧下へ放出されると同時に、膨化・固化することで繊維構造を持った大豆ミートが生成される(8)。図3にダイから押出されるシート形状とミンチ形状の大豆ミートを示す。ダイの出口形状を変更することで、シート形状やミンチ形状などの様々な形状の大豆ミートが製造可能である。大豆ミートの最終的な評価は、噛み応えや風味といった官能的評価によって判断されるが、これらは繊維量、膨化度、水分量といった定量的な値に左右されると考えられるので、二軸押出機のスクリュ構成やシリンダ温度のほかに、水分の添加割合といった様々なプロセス条件の最適化が必要であり、それらが各社のノウハウとなる。図1 二軸押出機(当社製)図2 大豆ミート製造プロセス模式図図3 ダイから押出される大豆ミート(46)
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