日本製鋼所「技報75号」
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5. 試験片の切断と変位測定6. 応力解析技術報告コンター法を用いた残留応力測定におけるFEMモデルの簡略化検討コンター法の解析に必要な変位を発生させるため、試験片のX軸方向の中央断面を板幅方向にワイヤーカットした。諸事情により切断位置はX線応力測定位置からX軸に対して数 mmずれた位置となった(図5)。しかし、X線応力測定位置の極近傍であるため、X軸方向の応力分布、および切断面に発生する変位への影響は同程度と考えられる。切断面の変位分布の測定には、カールツァイス株式会社製の三次元測定機COMET L3D 5Mを用い、図6に示す座標点群を得た。さらに図7に示すように、座標点群にノイズ除去やスムージング処理などを実施し、解析用の変位分布およびCADモデルを作成した。なお、切断後に得られた最大変位はX軸方向範囲に約330 μmであった。図5 裏面から見た切断位置図6 切断位置における座標点群図7 変位曲面(緑色)とCADモデル(変位曲面は強調表現)解析には汎用有限要素解析コードANSYS 2020 R2を用い、CADモデルから作成したFEMモデルに変位分布を反映して応力解析を実施した。解析条件は、図8に示すモデルを用いた弾性解析とし、解析結果評価位置はX線応力測定を実施した位置とした。物性値はSUS304の常温時のデータ(4)、ヤング率198.5 GPa 、ポアソン比0.294を使用した。図8 FEMモデル(断面:変位分布付与位置)(54)

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