日本製鋼所「技報75号」
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技術報告7. FEMモデル簡略化の検討コンター法を用いた残留応力測定におけるFEMモデルの簡略化検討(55)図9にコンター法による解析結果を示す。まず、O-C間における応力はX線応力測定法の結果に対して、A-B間における最大値と圧縮応力分布の傾向、またO-AとB-C間では圧縮応力分布の傾向が相似した(図9(a))。断面内の溶接部においては、比較的大きな引張応力が発生していることが確認された(図9(b))。また、解析結果における溶接部表面側の残留応力分布を確認するため、図9(b)に示す溶接部表面近傍のO’-D間において、X軸方向残留応力分布を取得した。その結果、中央近傍では引張応力分布、溶接部近傍から離れた場所では圧縮応力分布となり、図3で示したような応力分布と定性的に一致した(図9(c))。図9 コンター法による断面のX軸方向応力分布今回の試験片は座屈により鞍形の複雑な曲面で構成されており、FEMモデル作成に多大な時間を要する。しかし、FEMモデルを簡略化した場合においても精度の高い解析解が得られるのであれば、より効率的な解析が可能となる。そこで本報告では、次の三案のモデル簡略化案を提案し、それらが解析結果におよぼす影響を評価した。第一案は、元モデルをX軸方向に半分以下の長さまで短縮化したモデルである。この案では、切断面から10 mm範囲と35 mm範囲のモデル(以後、短縮化10 mmモデル(図10(a))、短縮化35 mmモデル(図10(b)))を作成した。図10 第一案:X軸方向短縮化FEMモデル(断面:変位分布付与位置)日本製鋼所技報 No.75(2024.11)

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