日本製鋼所「技報75号」
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 1. はじめに当社は、型締力1000 tf~1400 tf (9800 kN~13700 kN)の全電動大型射出成形機「J-AD」シリーズをフルモデルチェンジし、「J-ADS」シリーズを2023年7月に販売開始した(図1)。これは、当社の全電動機として第5世代目となり、既に販売している「J-ADS」シリーズの型締力30 tf~850 tf (300 kN~8330 kN)からラインアップを拡充するものである。最大の特長は、業界最速級のハイサイクル成形性能による“生産性向上”であり、独自のハイサイクルトグル機構のさらなる高速化と高可塑化能力スクリュの採用により可能となった。その他にも新スクリュデザインによる長期安定成形の実現や、最新コントローラによる省エネ性・保守性の向上、スマートファクトリー化への寄与などが挙げられる。この「J-ADS」シリーズはお客様の持続可能性(Sustainability)に貢献できる製品となっている。 2. 大型「J-ADS」シリーズの特長従来機「J-AD」シリーズからの特長であるロングデーライト、ロングL/Dスクリュを採用しつつ、装置部品の小型化や機器配置の最適化に取組むことで、電動トグル機として業界最短レベルの機長を達成した(表1)。製品・技術紹介(1)業界最短レベルの機械全長(2)【Speed】 卓越したハイサイクル性能(3)【Strong】 長寿命を実現する堅牢装置(71)図1 J1300ADS-5200Hの外観表1 従来機(AD)との機械全長比較型締装置においては、実績ある当社のハイサイクルトグル機構をさらに高速かつ省力設計に進化させた。図2に示すように、型盤最高速度は75 m/minと業界最速級でありながらショートストロークで高速に立ち上がるトグル設計である。これにより、従来機(AD)と比較してドライサイクル時間を約15 %短縮した。その他、高速サーボ型厚調整装置や高応答・高出力射出装置、高混錬・高可塑化能力スクリュなど、ハイサイクルに関わる最新技術を標準搭載している。高剛性型締装置は当社の伝統ある特長の1つであり、市場において高い評価を得ている。定評あるフラットプレスプラテン設計の高い型盤剛性を維持したまま、成形品の複合化や複雑形状化による金型の大型化に対応すべく、タイバー間隔を業界最大レベルまで拡大した(図3)。図2 新機種(ADS)と従来機(AD)との型盤速度比較図3 新機種(ADS)と従来機(AD)とのタイバー間隔比較日本製鋼所技報 No.75(2024.11)大型射出成形機「J-ADS」シリーズ1000tf~1400tfモデルの紹介大型射出成形機「J-ADS」シリーズ1000tf~1400tfモデルの紹介製品・技術紹介

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