日本製鋼所「技報75号」
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製品・技術紹介 1. はじめにホットプレス機は熱媒油・蒸気・電熱等にて加熱される熱板を一定間隔で配置している機械で、その熱板間に被加工物(以下、ワーク)を挿入したのち、熱板を閉鎖、加圧・加熱し、圧着成形する装置である(図1)。主に銅張積層板や多層プリント基板製造の熱圧着工程に使用される。熱板の数が1段や3段のホットプレス機単体での引き合いの場合は、専用の搬送装置などの周辺装置は付帯しないケースが多い。その理由は、圧着成形にかかる時間がおよそ2~4時間と長いため、ホットプレス機へのワークの供給、取出しが1日あたり数回程度に留まることや熱板段数自体も少ないことから、一般的な手動リフターを用いた搬送で十分であることが多いためである。一方、生産能力の拡大のためには、複数台のホットプレス機本体と搬送装置の周辺装置を含めた一括生産システムとして、全体レイアウト構成が行われる。そのため、生産現場のIT化による生産効率向上のニーズが高まっており、省人化による生産性向上や品質管理、作業性を改善するシステムへの対応要求が増えている。今回は複数台のホットプレス機を中心とした一括生産システムにおける集中管理システムを紹介する。 2. 装置構成ホットプレス機の周辺機器であるワークの搬送システムを、各顧客の工場レイアウトにフィットするように提供している。搬送システムは、主にホットプレス機の他にローダ/アンローダ、ストッカで構成する。ローダ/アンローダは、ホットプレス機へのワークの1)プレスラインのモニタリング(77)図1 ホットプレス機外観搬入と成形後の搬出を担う。これらを複数台のホットプレス機の間に設置し、生産タクトに合わせて自動的にホットプレス機からワークの搬入、搬出を行う。ストッカは、本装置の上流工程である前装置から供給されてくるワークをローダ/アンローダに受け渡すまでストックする役割と、ホットプレス機から出てきたワークを下流工程に搬出するまでストックする役割を担う。また、ストッカはワークのローダ/アンローダへの供給、およびホットプレス機から取り出したワークの搬出も行うため、ホットプレス機のレイアウト上に配置する。複数台のホットプレス機と周辺機器は統合した操作を可能とするように、それぞれの機器でタッチパネル等の操作盤があり、連動運転できるようにしている(図2)。 3. 集中管理システムの特徴集中管理システムは、複数台のホットプレス機と周辺装置を含めたライン(以下、プレスライン)を集中管理盤で中央制御するシステムである。特徴は以下の通りである。プレスラインの装置全ての状態を集中管理盤のタッチパネルで確認することができる。ラインモニタ画面を見ることで装置内の製品の有無や操作モード、動作状態を一目で確認することができる(図3)。図2 プレスライン外観図3 ラインモニタ画面日本製鋼所技報 No.75(2024.11)製品・技術紹介ホットプレス機における集中管理システムの紹介ホットプレス機における集中管理システムの紹介

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