技 術 論 文5. 基板昇降機構基板反転および基板昇降機構を搭載したフォトニクスデバイス用 ECR スパッタ装置の開発(13)図 5 SiN 膜の屈折率および消衰係数比較図 6 Ta2O5 薄膜の AFM 像(a) 平面図、(b) 鳥瞰図図 7 マイクロ波電力イオン電流密度分布 (a) 300 W、(b) 500 W、(c) 700 W日本製鋼所技報 No.76(2025.11)AFTEX-6500 と AFTEX-6200 の光学特性を比較するために窒化シリコン(SiN)の成膜を行った。成膜条件は、Ar 流 量 40 sccm とし、N2 流 量 5 sccm、7 sccm、マイクロ波電力 500 W、ターゲット印加 RF 電力 500 W、T-S間距離を 170 mm とした。図 5 に AFTEX-6500とAFTEX-6200 で成膜した SiN 膜の屈折率(n)と消衰係数(k)の波長依存性を示す。分光エリプソメータ(SEMILAB 社製 SE-2000)を使用し 632.8 nm の波長の屈折率を測定した。N2 流量 7 sccm では、AFTEX-6500 の屈折率(n)が 2.01、AFTEX-6200 の屈折率(n)が 1.99 となり、若干の差異はあるものの同様の結果が得られた。消衰係数(k)に関しては、AFTEX-6200 と AFTEX-6500 の両方で波長 400 nm 以上では吸収はなく、波長 320 nm 以下に吸収が観測された。膜の表面粗さは半導体レーザの端面コートとしての膜特性を評価する上で重要な要素である(12)ため、AFTEX-6500で形成した膜の表面粗さを、日立ハイテク製走査型プローブ顕微鏡(AFM5100N)の原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)で観測した。DBR の高屈折率膜として実績のある Ta2O5 膜で評価を行った。成膜条件は、Ar流量 30 sccm、O2 流量 11.6 sccm、マイクロ波電力 500 W、ターゲット印加 RF 電力 500 Wとした。図 6(a)に AFTEX-6500 で成膜した Ta2O5 膜の AFM像の平面図、図 6(b)に鳥瞰図を示す。得られた AFM像から算出した算術平均粗さ(Sa)は 0.09 nm と非常に優れた平坦性であった。従来の AFTEX-6200 の 0.11 nm と同等の平坦性を得られることが分かった。図 7 に基板昇降機構を使用し T-S 間距離を変化させた場合のラングミュアプローブの測定によるイオン電流密度分布の変化を示す。イオン電流密度の測定には、面積 10 mm2のラングミュアプローブが 20 mm 間隔で十字に 17 点並んだ測定器を使用した。基板の中心を 0 mm として、図 1 における手前から奥方向の- 80 mm 〜+ 80 mm の範囲を Xポジション、左から右方向の- 80 mm 〜+ 80 mm の範囲を Y ポジションとした。放電条件は、Ar 流量を 20 sccm、マイクロ波 電 力を(a)300 W、(b)500W、(c)700 W、T-S 間距離を 168 mm と 240 mm とした。
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