日本製鋼所「技報76号」
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技 術 報 告(22)5. 結  言参 考 文 献二軸押出機 TEX® を用いた脱硫技術600 rpm と高い場合は q が低下する傾向が見られた。これは付与するせん断エネルギーが大きすぎる場合、架橋を選択的に切断できなくなり、主鎖の切断が起こるためと考えられる。本研究では、二軸押出機を用いた加硫ゴムの脱硫プロセスにおいて、第 2 混練部におけるスクリュ形状およびスクリュ回転数が再生ゴムの物性に与える影響を評価した。その結果、スクリュ回転数の上昇に伴い、いずれのスクリュ形状においてもゲル分率は低下傾向を示し、脱硫が進行することが確認された。一方で、膨潤度は中程度の回転数(400 rpm付近)で最大値を示し、それよりも高回転・低回転の条件では低下する傾向が見られた。このことは、スクリュ形状とそれが与えるせん断エネルギーの組み合わせとバランスが架橋構造の選択的切断に重要であることを示唆している。また、分子量に関しては、スクリュ形状による差異が明瞭に現れ、特にスクリュ B が、他構成に比べて主鎖の切断を抑えながら脱硫を進行させることができた。これにより、高膨潤度・低ゲル分率・高分子量を同時に満たすバランスのとれた再生ゴムが得られるスクリュ形状が示唆された。今後はさらにデータの蓄積と解析を進めることで、二軸押出機による脱硫技術の高度化と持続可能なゴムリサイクル技術の発展に貢献していきたい。“TEX”は株式会社日本製鋼所の登録商標です。(1) 工業情報とメーカー実務の百科事典「天然ゴムと合成ゴムの違いと比較、生産量、見分け方について」https://www.toishi.info/sozai/rubbers/chigai.html(2) 敷板 net.「知っているようで知らない「ゴム」の話 -再生(リサイクル)ゴム編-」https://www.shikiita.net/apps/note/rubber-mat/rubber_recycle/(3) 「 再 生ゴムの 最 近の 情 勢」 川口 伊 義 https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu1944/38/9/38_9_755/_article/-char/ja(4) CERI 一般財団法人 化学物質評価研究機構「加硫ゴムの架橋密度及び架橋形態の測定」https://www.cerij.or.jp/service/05_polymer/cross-link_density.html

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