常務執行役員日本製鋼所技報76号の発行にあたり一言ご挨拶を申し上げます。2020年の新型コロナウイルス感染症の流行を境に世の中は大きく変化し、関税政策などの保護主義の台頭や中国の景気減速・地政学リスクの高まり・人口減少による労働力問題など変化のスピードがますます加速しています。各国では持続可能で豊かな世界の実現を目指し、環境の改善を中心に課題解決に向けた施策が進んでいますが、自動車のEV化の減速や再生可能エネルギーへの転換の停滞など、当初の勢いは減速し現実路線へと舵が切られています。このような中で当社は2023年に10年先の姿を描き、その中間年である2 02 8 年度に向けた中期経 営計画“JGP 2 02 8”を定めました。“「Material Revolution」の力で世界を持続可能で豊かにする”というパーパスを起点とした企業グループの理念体系の下で、社会課題を解決し持続可能で豊かな世界の実現に貢献する「サステナビリティ目標」と売上高5,000 億円規模の企業グループへの成長を目指す「財務目標」を定め、「新たな成長に向けた変革と挑戦」を図るべく事業活動を推進しています。2025年度はJGP2028の2年目で「実践の年」としてスタートしています。目標の達成には、人を育てながら成長することが重要です。2023年度より実施している組織 風土改革の活動を活性化するために2024年度にJSWグループとして「5つの行動指針」を定め、それに対する支援として「皆さんへの約束」を明確にし、2025年度は浸透活動を推進しています。失敗を許容し何でも挑戦できる風土へ変革することで、加速する社会の変化のスピードに適応し持続的な成長が図れる企業を目指しています。技報76号では、当社のマテリアリティである、①プラスチック資源循環社会の実現、②低炭素社会への貢献、③超スマート社会への貢献に関連した技術・製品を紹介しています。素形材関連では、低炭素社会への貢献として、設備・工程の改善により大幅に生産性・品質を向上させCO2 排出量の削減を実現した技術を紹介しています。産業機械関連では、プラスチック資源循環社会の実現や低炭素社会への貢献が可能な、環境に優しい製品やその製品を活用した技術を紹介しており、また、超スマート社会への貢献として次世代IT機器の量産に適した製品・技術を紹介しています。当社は1907年に室蘭の地で設立され伝統を受け継ぎ成長してきました。素形材事業にプラスチック関連事業が加わり、さらに電子デバイス事業へと時 代の変化に適応し事業展開を図ってきました。本技報で紹介している製品・技術は、多くの挑戦と失敗を繰り返し成果に至っています。社会の変化に適応した企業への変革を継続しJGP2028の目標と2033年の長期目標の達成に向け成長を続けてまいります。今後も持続可能な社会の実現に向け貢献できる製品・技術をご提供してまいりますので、変わらぬご指導とご鞭撻をお願い申し上げます。巻 頭 言布 下 昌 司
元のページ ../index.html#3