日本製鋼所「技報76号」
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製品・技術紹介製品・技術紹介(47)日本製鋼所技報 No.76(2025.11)当社においては、2018年にIoTソリューションブランド「J-WiSe®」を立ち上げ、4つのカテゴリ「生産管理」、「サービス・保全」、「運転支援」、「生産自動化システム」に沿ったシステム・サービスを提供することで、お客様成形工場のスマートファクトリー化を目指し、生産性の向上に寄与するソリューションの提供を行っている。今回、販売開始した「OPC UA通信サーバ機能」オプションは、J-WiSe「生産自動化システム」カテゴリの「J-WiSe Team Network®」の一製品となっており、お客様の製造実行システム(MES)が射出成形機の稼働情報、品質データを取得し、稼働管理、品質分析を行えるようにするための通信機能である。また、「OPC40082-1(金型温調機)通信クライアント機能」オプションは、射出成形機コントローラ画面で、金型温調機の測定値の表示、設定値の変更、温度制御開始・停止の操作ができる。本稿では、これらの機能について紹介する。F製造実行システムMES当社射出成形機メーカA 射出成形機メーカB 射出成形機図1 統一的なデータ収集・管理海外市場において、ドイツ主導のインダストリー4.0の影響により、IoTに対する意識が高まっている。特に欧州競合各社においては、かねてよりEUROMAP協会の主導により、各社射出成形機と上位MESシステム・周辺装置との通信をOPC UAベースとして国際規格化している。また、現在も射出成形機を取り巻く周辺機器の通信規格を機器ごとに検討・決定している。このうちMES向け通信規格はOPC40077(旧EUROMAP77)として規格化されており、欧州成形機メーカは標準的に対応可能である。一方、国内市場においても、IoTの潮流の中、人材不足、コスト削減、効率化要求に対応するため、成形工程、成形工場全体の「見える化」の実現を要求するお客様が増加している。このような海外や国内の要求に対応していくため、「OPC UA通信サーバ機能」を開発した。また、すでに通信規格が決定されている金型温調機用の「OPC40082-1(金型温調機)通信クライアント機能」も開発した。OPC400xxは、機器がその通信規格に対応していれば、メーカを問わずデータ取得が可能であり、今後の普及が期待される。3.1 OPC UA通信サーバ機能本機能は、OPC40083(プラスチック・ゴム機械向け一般通信仕様)およびOPC40077(射出成形機とMES間通信仕様)で規定されている項目の一部と、成形条件の設定値・成形サイクルごとの測定値を提供する。1)統一的なデータ収集・管理お客様がOPC UA通信に対応したMESを導入していれば、メーカの異なる射出成形機が混在する生産ラインでも、同じ通信規格での管理が可能となり、図1に示すように、システム構築が容易になる。2)ノーコード・ローコード開発プラットフォームとの連携お客様がOPC UAに対応したプログラマブルロジックコントローラ(PLC)や、ノーコード・ローコード開発プラットフォーム(専門知識不要でアプリ開発可能なツール)を用いることにより、簡単に射出成形機データを取り込むことができる。これにより、お客様独自のダッシュボード表示や品質分析機能を作成することができる。3.2 OPC40082-1(金型温調機)通信クライアント機能本機能は、OPC40082-1で規定されている項目の一部を使い射出成形機と金型温調機が連携する。1)射出成形機コントローラ画面からの操作射出成形機コントローラ画面で、金型温調機の測定値の表示、設定値の変更、温度制御開始・停止の操作ができる。これにより、作業者が金型温調機コントローラパネルの前に移動することなく、金型温調機の設定を確認・変更すOPC UA通信対応の紹介OPC UA通信対応の紹介 2. 開発経緯 3. 各機能の特徴 1. はじめに

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