日本製鋼所「技報76号」
54/68

製品・技術紹介 1. はじめに 2. 全電動ゴム用射出成形機の特長(51)2.2 環境負荷の低減油圧式ゴム用射出成形機を全電動化することで多くのメリットが得られる。特に消費電力の大幅な削減が可能となり環境保護にも繋がる。消費電力の比較のためゴム製品の成形事例を紹介する。・製品名 :ゴムブッシュ・材料 :天然ゴム・1サイクル:220 sec・製品重量 :893 g図 2 に 1 サイクルの消費電力の比較データを示す。全電動化の効果が顕著に表れており消費電力は 1 サイクル中の全工程にて大幅な低減を実現し、その効果は油圧機と比較して 46 % の削減となった。これにより環境負荷の図 1 M220ADS-890H-TS(ゴム成形対応)の外観表 1 主仕様図 2 消費電力日本製鋼所技報 No.76(2025.11)近年、環境保護やエネルギー効率の向上が求められる中、製造業においても持続可能な技術の導入が急務となっている。全電動式射出成形機は、消費電力とランニングコストの削減、射出・型開閉精度の向上、そして作業環境の改善といった多くの利点を有しており、プラスチック成形においては油圧を使用しない全電動方式が一般的になっている。ゴム成形においては現在でも油圧方式の射出成形機が主流になっており、環境負荷低減に取り組むユーザからはさらなる省エネ対応に向けて全電動方式のニーズが高い。このようなニーズに対応すべく全電動ゴム用射出成形機M220ADS-890H-TS(ゴム成形対応)を開発した(図 1)。本稿ではその特長を紹介する。2.1 概要型締装置はフラットプレスプラテン設計の高剛性型盤を採用して成形中の金型変形を抑制している。加えて加速性能に優れるハイサイクルトグル機構を採用しており、高速かつ高精度な型開閉を実現している。射出装置はノズル前進・後退動作を除き、全ての動作で電動機構を採用することで、ゴム成形で求められる低射出速度域での安定性、高射出圧力を実現している。制御装置は SYSCOM5000i コントローラを搭載することで、型締と射出の最適制御が可能となり、低速域~高速域まで高応答、高精度が実現できる。これにより成形プロセス全体の効率と品質の向上が期待できる。 製品・技術紹介全電動ゴム用射出成形機の紹介全電動ゴム用射出成形機の紹介

元のページ  ../index.html#54

このブックを見る