Kcom(7.0 × 10-5/MPa)を用 いた 場 合、(b)Kten(15.4 ×10-5/MPa)を用いた場合の 2 通りで解析を行った。さらに、技 術 論 文5. 結果および考察低合金鋼の溶接残留応力解析の精度に及ぼす変態塑性の影響5.1 非定常熱伝導解析の妥当性非定常熱伝導解析で得られた最高到達温度分布と断面マクロ観察結果を Fig. 11 に示す。断面マクロ観察結果より、溶接試験の溶接金属は中央溶込み型(13)の形状を呈していた。1500 ℃(融点)以上に加熱された領域を溶接金属、820 ℃(Ac1)以上に加熱された領域を HAZ とすると、最高到達温度分布は断面マクロ観察結果と良好に一致しており、Fig. 8 に示した T 字型の熱源形状が妥当であることが示唆される。Fig. 8 FEM model.Table 5 Other material properties.modulus.日本製鋼所技報 No.76(2025.11)(5)Fig. 9 Temperature dependence of thermal conductivity andspecific heats.Fig. 10 Temperature dependence of yield stress and Young’s電圧 U および溶接速度 v は Table 1 の値を用い、初期温度は溶接試験の予熱温度 190 ℃とした。また、入熱効率ηは 65 %とした。熱源モデルは移動熱源とし、断面形状を T 字型、長さを 5 mmとした。なお、ηと熱源モデルは後述する断面マクロ観察結果と合わせ込むことにより決定した。材料物性値には、Fig. 9, 10 および Table 5 に示す値を用いた。変態塑性係数 K には Table 3 に示した溶接金属の値を用いたが、本解析に用いたリターンマッピング方程式では引張・圧縮によって K を切り替えることができないため、(a)比較として K=0.0/MPa とした(c)変態塑性を考慮しない場合も実施した。なお、これらの材料特性は、母材と溶接金属で同じ値とした。
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